一生に一度はお伊勢参り。江戸時代、伊勢神宮参拝は庶民ならずとも多くの人々の願いでした。
そして、令和の御代。交通網は発達したとはいえ、遠方に住んでいる人にとっては、伊勢神宮参拝はそうそう簡単にはできませんよね。
東京在住で筋金入りのスーパー庶民である私には交通費、宿泊費捻出もとても大変です。
そんな私もご縁があって、何度か伊勢神宮参拝をさせていただきました。
そのうち2回、知る人ぞ知る御垣内参拝と呼ばれる正式参拝をさせていただくことができました。
多くの人は御幌(みとばり)と呼ばれる大きな白い布が掛けられた外玉垣南御門の前で参拝します。
ここまではだれでも簡単に参拝できます。
御垣内参拝は、外玉垣の中に入り、御垣内の中で参拝するのです。
引用:西口神具店 http://ise-miyashi.com/06jingu/kakiutisanpai/mikakiutisanpai.html
とはいえ、御垣内参拝は簡単にできるわけではありません。
私が経験したときのことを記してみますので参考にしてみてくださいね。
伊勢神宮のホームページにも紹介されていない特別な参拝ですよ。
男性はスーツ、女性も準ずる服装
手順をしっかりと踏んでいけば、御垣内参拝はだれでもできます。
ただし、厳しいドレスコード(服装規定)があります。
ここを押さえておかないと、御垣内には入れてもらえません。
男性は、濃い色のスーツ(礼服など)、華美でないネクタイ、白のワイシャツ、革靴。
女性もそれに準ずるもの。ワンピースの場合はジャケットを着用。
大まかにはこのようなところですが、細部の判断は神官によるものと思われます。
子どもとて例外ではありません。Tシャツやスポーツウェアでは間違いなく門前払いされます。
私は、黒に近い無地のスーツ、えんじ色の無地のネクタイ、白のワイシャツ、黒の靴下、黒のプレーントゥの革靴で臨みました。
スーツだからいいだろうと、グレーだったり、ストライプの入ったものはやめましょう。
あくまでも黒、もしくは濃い色のスーツです。ワイシャツも白一択。薄いグレーとか、ステッチの入ったものは不可です。
子どもたちは学生服があれば、それがベストだと思います。
ただし、最近は、男子はブレザーにネクタイ、グレーのズボン、女子は、チェク模様のスカートだとか、大きなリボンの付いた制服があります。これはオーケーなのかどうか、何とも判断のしようがありません。
全ては通常の参拝する場所である外玉垣南御門の向かって左側にある南宿衛屋にいらっしゃる神官(禰宜)の判断によりますので。
あらかじめ電話で問い合わせてみるのもいいかもしれません。
幼稚園児は七五三のときに着た黒の背広と半ズボン、白シャツ、ゴムで留めるネクタイ、そして、靴は真っ黒のスニーカーで大丈夫でした。
神官(禰宜)はフレンドリーとはほど遠く、厳格に淡々と手続きを進め、妥協は許さない雰囲気でした…。笑
神道では、形も大変に重要な要素であるんですね。
女性はヒールの高い靴はやめましょう。不可とされる可能性があることと、御垣内の玉砂利はとても大きくてそんな靴では歩けません!
まるで河原を歩くような感じです。大人の男性の握りこぶしより大きいです。玉砂利とは名ばかり。石です。
御垣内参拝方法その1(遷宮への寄付)
御垣内参拝をするには、「参宮章」というものがないとできません。
この参宮章は、伊勢神宮への寄付をした人へ授けられるものです。
伊勢神宮は、20年に一度、遷宮と呼ばれる建て替えを行います。この遷宮に要する費用のために寄付をするのです。
遷宮は、御正宮だけではなく、摂社、末社の125社から橋や鳥居、さらには調度品や奉納品の細部まで、ほぼあらゆるものまでに至ります。
その総費用は平成25年の遷宮時で550億円と言われています。
この遷宮への寄付に対する伊勢神宮からの感謝の気持ちがこの参宮章ということになるんです。
御垣内参拝に必要な寄付は幾ら?
御垣内参拝に必要な寄付は幾らなんでしょうか。
検索して調べてみると、2000円で大丈夫という人もあれば、3000円、いやいや5000円という人もいます。
実は金額は、どこにも書いてありませんし、何も指定されません。
私が一人で参拝したときの場合ですが、結論から言うと、5000円※の寄付をさせていただきました。(※3000円だったような気もします……)
伊勢神宮のほうからすると、御垣内参拝するために寄付をするというと本末転倒なのだと思います。
あくまでも遷宮への協力する思いが大事なのだと思って、伊勢ではありますが、京都清水の舞台から飛び降りたつもりで5000円としました。
余裕があるわけではありません。旅行中の食事を慎ましやかなものにして捻出しました。
寄付金は神楽殿のお神札や御守りを授与しているところで申し込みます。
私はうっかり「御垣内参拝をしたいのですが」とお伝えしたところ、「そのようなことは受けていない」みたいな返答がありました。
そこで慌てて「遷宮への寄付をさせていただきたい」とお伝えすると、参宮章を授与いただくに至りました。
皆さん、ご注意を。笑
方法その2|伊勢神宮崇敬会に入会して参宮章をいただく
もう一つ、参宮章をいただく方法があります。
伊勢神宮崇敬会に入会する方法です。
準会員は年会費3000円。御垣内参拝は1回限り有効。
会員は年会費5000円。正会員は年会費1万円。御垣内参拝はいずれも1年間有効です。
それぞれ付与される特典が違いますので詳しくは伊勢神宮崇敬会のホームページをごらんください。
伊勢神宮崇敬会 https://www.jingukaikan.jp/sukeikai/
とりあえずは1回御垣内参拝を希望される方は準会員、お近くにお住まいで1年間で何回か参拝が可能な方は正会員もしくは会員がおすすめです。
もちろん寄付は何回でも幾らたくさんでもいいんですよ!
外宮から参拝を
参宮章を授与いただくと、1枚で外宮と内宮、両方を御垣内参拝できます。
どちらで授与いただいてもいいのですが、古より外宮を先に参拝するのが習わしになっています。
これは御垣内参拝に限らず通常の参拝でもです。
外宮で参宮章をいただいて、先に外宮をお参りしましょう。
外玉垣内御門の内側で参拝
手順は外宮も内宮も同じです。
まずは南宿衛屋で参拝の旨を伝え、参宮章を提示します。
更衣室があるわけではありませんよ。外宮、内宮ともに着替えた状態で臨みます。
手荷物がある場合は南宿衛屋横の荷物置き場に預けることになります。
そして、お清めの塩でお祓いを受けて、神官の案内で後ろをついて進みます。
西側の番塀側から御垣内に入り、垣根(塀)に沿って歩き、外玉垣内御門の内側、ちょうど一般の方たちが参拝する御帳(みとばり)の内側まで案内されます。
御垣内の中の空気感というのでしょうか、今まで感じたことのない、特別なものでした。
そして神官から「参拝してください」という合図をいただいて参拝します。
参拝後は再び神官の導きにより戻ります。
この間、5分もなかったと思います。あっという間の出来事です。
さっきまでいた御垣内の中、参拝した場所を見ます。
1枚の塀を隔てただけなのですが、別の次元の世界にいたことを実感するはずです。
まとめ
伊勢神宮は神社の頂点とも言えるご存在です。
普通の参拝だけでも特別感満載です。
何事の おわしますをば 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる
平安時代の僧侶にして歌人、西行は詠みました。
こんな大昔のお坊さんが神社でありがたくて涙を流すのです。
もし御垣内参拝ができるチャンスがあったらぜひおすすめしたいと思います。
最後に一つ。御垣内参拝では、個人的な願い事ではなく、天下国家、日本と世界の安寧のみを願い、感謝のみを申し上げるとされています。
個人的なお願いを長々として、神官に察知されると注意されるそうですよ!
神宮(伊勢神宮) https://www.isejingu.or.jp/