伊勢神宮参拝。
一般的に「伊勢神宮」と呼ばれていますが、正式名称は「神宮」です。
その伊勢神宮。内宮と呼ばれる皇大神宮と、外宮と呼ばれる豊受大神宮の2つのご正宮、そしてご正宮に次ぐ格式がある14の別宮、109の摂社、末社、所管社の125のお宮から構成されています。
この中で最も大事なのはご正宮である内宮と外宮。どちらか一方だけをお参りするのは「片参り」といって、あまり望ましくないとされています。
しかし、内宮だけをお参りする人の何と多いことか。実際に統計を見ても明らかです。
伊勢市観光統計によると、令和元年度の内宮参拝者は638万9505人、外宮参拝者
は336万111人です。外宮参拝者は内宮参拝者のほぼ半分です。もったいない! 300万もの皆さん!
せっかくのお伊勢参り。外宮にもしっかりとお参りしましょう!
それでは、外宮参拝、エスコートします!
内宮より先に外宮を参拝するのが慣わし
外宮先祭といって、日々のお祭り、一年のお祭りは内宮よりも外宮を先に行うこととされています。これは参拝も同じで、外宮を先にお参りして内宮をお参りするというのが古からの慣例となっています。
天皇皇后両陛下、皇族の方も同じです。外宮を先にお参りします。令和元年11月22日、親謁(しんえつ)の儀のときも天皇・皇后両陛下は外宮から先にお参りなさっています。
お祭りされている神さまは豊受大御神(とようけのおおみかみ)。日本にとって最も大事な米作りのほか、衣食住をはじめ諸産業を司る守護神です。
倭姫によって定められた内宮鎮座から約500年後の雄略天皇の御代、天照大御神の食事をつかさどる御饌都神(おみつけかみ)として丹波の国から現在の地に迎えられたと伝えられています。
外宮の参拝ルート
それでは、実際に外宮を参拝してみましょう。
まずはご正宮の参拝です。
外宮内に入るのには火除橋を渡ります。火除橋は表参道と北御門口の2カ所にありますが、ここは迷わず表参道側の火除橋を渡って行きましょう。
火除橋を渡ってすぐ左側に手水舎があります。参拝を終えた人と交差しないように外宮では左側通行となります。逆に内宮では右側通行です。
手水舎では、しっかりと手と口を清めましょう。
このとき手水舎のすぐ横には、式年遷宮の資料館である「せんぐう館」があり、勾玉池が広がります。しかし、ここは後回しです。先にお参りをしましょう!
手水舎から見える一の鳥居へと向かいます。
当たり前のことですが、鳥居の前では歩みを止め、一礼をして鳥居をくぐりましょう。
このときの一礼は拝殿の前での礼よりも浅めです。しっかりめの会釈といった感じでしょうか。この一礼を一揖(いちゆう)といいます。鳥居の前で立ち止まり、ていねいな一揖をする人の何と少ないことでしょうか! 一揖をしている人は2割から3割程度ではないでしょうか。
照れくさくも気恥ずかしくも何ともありません。堂々としっかりとした態度こそカッコいいのです。
会社でもそうですよね。いい加減な挨拶しかしない後輩より、礼儀正しい挨拶をする後輩のほうが何とかわいいことか!笑
神道では「形」も大事です。次に見える二の鳥居でもしっかりと一揖をして進みましょう。
二の鳥居をくぐり進むと右手に神楽殿が右手に見えます。お札やお守りをお分けいただくのは参拝を終えてからにしましょう。そのまま歩を進めます。
やがて広大な更地が見えます。ここが古殿地(こでんち)です。
平成25年の式年遷宮まではこちら側にご正宮があり、現在のご正宮の位置が古殿地でした。
いよいよご正宮参拝です。鳥居の前で丁寧に一礼をして帷(とばり)前に進みます。
内宮もそうなのですが、ご正宮にはお賽銭箱はありません。
お賽銭は別宮や所管社などのお賽銭箱に入れましょう。
もしくは、神楽殿で神札やお守りを頒布いただくか、次の式年遷宮の造営資金への寄付をするのもいいですね。
とっても大切なこととして、ご正宮では、個人的なお願い事はしてはなりません。
国家安寧、世界平和を願い、日々生活できていること、そして、伊勢にお参りができたことへの感謝をしましょう。
ニ拝二拍手一拝です。
「拝」は腰を90度まで曲げます。しっかりと、ガチで、丁寧に参拝しましょう!
個人的なお願いごとは、別宮である多賀宮(たかのみや)でします。
多賀宮へ向かう途中、古殿地の南側、御池の前には「三ツ石」と呼ばれるしめ縄を張った中に3つの石を並べた石積みがあります。
ここは式年遷宮のときにだけお祓いの祭典が行われる大切な場所です。
三ツ石に神さまがいらっしゃるわけではないのですが、パワースポットとして知られるようになり、手をかざしたりお賽銭を投げ入れたりする人が多くいます。
しかし、伊勢神宮公式ホームページにはわざわざこう書いてあります。
近年、手をかざす方がいますが、祭典に用いる場所なのでご遠慮ください。
手をかざしている人がいたとしてもマネをしないようにしましょう。要注意です!
三ツ石から池にそって参道に戻ると大きな一枚岩の亀石と呼ばれる橋を渡ります。
やがて左手に風宮、右手に土宮が見えますが、まずは第一位の別宮、多賀宮(たかのみや)へ続く石段を上ります。
多賀宮は100段ほどの石段を上り詰めたところにあります。豊受大御神の荒魂(あらみたま)をお祭りします。
荒魂とは、ご正宮の和魂(にぎみたま)に対して、積極的な、活動的な魂のことであり、何かを始めようとするとき、事を起こそうとするときに力を授けてくださる神さまです。
個人的なお願いごとはここでできます。
遷宮をはじめ、年中のいろいろな祭典はご正宮の次に引き続き行われ、外宮の別宮の中の第一位とされています。
登ってきた石段を下ったところの正面に見えるのが別宮、土宮(つちのみや)です。
ご祭神は大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)。古くから一帯の鎮守の神さまとして祭られていましたが、外宮創建後は外宮宮域の地主の神として祭られています。
土宮に向かって左側の小道を進んだ先には下御井神社(しものみいのじんじゃ)があります。
下御井神社内部には井戸があり、お祭りにお供えする御水をいただく上御井神社で不都合があった場合、こちらでいただくそうです。
ちなみに上御井神社は宮域内にあるけど、立ち入りできません。
そして、再び土宮の前を通り、来た道を戻る途中に見えるのが別宮、風宮(かぜのみや)。
風と雨を司る級長津彦命(しなつひこのみこと)、級長戸辺命(しなとべのみこと)をお祭りします。
元寇のとき、神風を吹かせた神さまとして知られます。
農作物の成長に関係の深い風や雨が順調であることを祈る神さまです。
再び亀石を渡って神楽殿に向かいます。
神楽殿の横に広い敷地があります。写真中央に小さな木が植えられているのが四至神(みやのめぐりのかみ)。外宮神域の守り神です。社殿や御垣はなく石畳の上に祭られています。
外宮まとめ
これで主だったところはめぐることができました。あとは、表参道を戻っていくのもよし、神楽殿と四至神の間の裏参道を通って戻るのもよしです。
裏参道をには御厩(みうまや)があり、毎月1日、11日、21日には神様の乗り物とされる神馬が正宮にお参りします。白い神馬に会うことができたらラッキーですよ!
外宮の参拝を終えたら、ぜひ外宮のもう1つの別宮、月夜見宮も参拝しましょう。裏参道から出た北御門口から300mほどの場所です。
伊勢神宮をお参りするのなら、別宮の月読宮と月夜見宮も参拝するのがおすすめです。 読み方はいずれも「つきよみのみや」。月読宮は内宮(皇大神宮)の別宮、月夜見宮は外宮(豊受大神宮)の別宮です。 そして、ご ...
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