海上自衛隊第1術科学校(旧海軍兵学校)の見学がおすすめです。
これはスゴイですよ!
広島県江田島市にあります。と言ってもピンとこない人も多いのではないでしょうか。
ここです。
戦前は海軍兵学校でした。アメリカのアナポリス、イギリスのダートマスとともに世界三大兵学校と並び称されたほどです。
海軍兵学校時代は、入学できなかった者が東京大学へと進んだとも言われるほどの難関でした。
この第一術科学校の見学、日本の海軍の歴史を学びたい人にはぜひ訪れていただきたいと思います!
ドレスコードがある厳格な見学コース
第一術科学校の見学は日本海軍の歴史を学ぶという意味合いが強い見学コースです。
決して、「観光地」ではありませんので注意が必要です。
埼玉県朝霞市にある陸上自衛隊の「りっくんランド」のような現在使われている装備の見学ではありません。
現役で使われている海上自衛隊の教育施設であり、海上自衛官の心の「勉強の場」及び旧海軍戦没者の「慰霊の場」と位置付けられる教育参考館のある聖地とも言える場所なのです。
そして、自由に個人個人が見学できるものではありません。あくまでも海上自衛隊の施設ですからね。
見学コースを回る前に係員から注意事項などのレクチャーがあります。
服装にも注意が必要です。
タンクトップやノースリーブ、キャミソールはだめですよ!
ダメージ加工されている服もだめですよ!
極度に丈の短いスカート等もだめですよ!
短パン(半ズボン、7分丈等)もだめですよ!
そして、そして、履き物は、
スリッパ、ビーチサンダル等はだめですよ!(履き替えていただきます)
下駄、雪駄等はだめですよ!(履き替えていただきます)
スパイク等靴底に金属がついた靴はだめですよ!(カバーをするか履き替えていただきます)
ヒールの高い靴等はだめですよ!
ここまで読んでうんざりした方はやめたほうがいいでしょう……。
そして、「急に走り出したりしないでくださいね。撃たれますよ!」などとブラックユーモアを交えて、単独での行動は厳に慎むよう注意されます。笑
石造りの大講堂や赤レンガ造りの幹部候補生学校庁舎
見学時間は約1時間30分です。見学途中、帰ることは原則できません。
観光地ではありません。あくまでも、海上自衛隊の教育施設です。
見学は係の方に引率されての団体行動になります。
集合時間になったらひと通り注意事項などの説明を受けます。そして、時間になったら出発です。
まずは、大講堂に向かいます。
大講堂は大正6年(1917年)の建築。入学式、卒業式も行われる2000人収容の講堂です。荘厳な石造りの建物でとても格調高い雰囲気があります。
こちらは当日使用されていなければ中に入れますよ。
次は赤レンガづくりの幹部候補生学校庁舎(旧海軍兵学校生徒館)です。明治26年の建築です。
長さは140m。ホントに見事な美しさです。ドラマ「坂の上の雲」の舞台にも使われた!ということでこの長い廊下は撮影必須ポイントです。
140mにも及ぶ一直線の長い廊下。歩いてみたいところですが、ここは立ち入り禁止となっています。残念!
何たって現役で使われている幹部候補生学校ですからね。
日本海軍に関する超一級の史料が並ぶ教育参考館が圧巻
最後に見学する建物は教育参考館。私的にはここが一番の見どころです。
幕末、明治以降の日本海軍の歴史に関する超一級の史料約1000点が展示されています。
ここでは、写真撮影はもちろんのこと、スマホ、携帯電話の使用も禁止。帽子をかぶっている人は脱帽しなければいけません。
さらにさらに、静かに静かに見学しなければいけません。
そして、さきの大戦で特攻隊として国のために散華されていった方たちの遺書や遺品も。
服装もうるさく言われ、脱帽も指示される理由はここにあります。
幕末からの史料は歴史ファンならずとも驚くようなビッグネームが並んでいますよ。
吉田松陰、坂本龍馬、勝海舟、山本権兵衛、秋山好古、秋山真之などなど。ゆかりの品、書がこれでもかというほど押し寄せてきます。
幾度もの日本の危機を救い、世界に伍するまで育ててくれた大偉人たちです。本物が持つ圧倒的な史料の迫力に鳥肌が立つこと間違いなしです。
写真を載せられないのが残念ですが、第1術科学校のホームページからほんの一部をごらんになれますよ!
海上自衛隊第1術科学校HP https://www.mod.go.jp/msdf/onemss/about/facility/index-sankou.html
ただ、惜しむらくは見学できる時間が短すぎる! 実際に教育参考館を見学できるのは30分〜40分ほどでしょうか。せめて1時間半は欲しい!(とみんな思っているはずです)
うっとりと眺めていると、あっという間に時間が来てしまいます。
団体行動ですからね。遅れるわけにはいきません。のんびりしていると上官(ガイドの方)に大目玉を喰らうかもしれませんよ。
30分ほどとはいえ、子どもたちが退屈するには十分な時間です。子ども連れで行くと、子どもをあやしたり、展示を見たりで忙しいですよ!笑
教育参考館横には、戦艦大和主砲砲弾や特殊潜航艇、日清戦争で活躍した三景艦(松島、橋立、厳島)の主砲砲弾なども展示されています。
戦艦陸奥の主砲や表玄関である表桟橋
広いグラウンドの向こうの海に目をやれば、巨大な砲台が見えます。
戦艦陸奥の主砲です。
陸奥の4番主砲として搭載されていた40cm砲で、射程距離は30kmです。昭和10年、海軍兵学校生徒の教材として移設されたものです。
そして、陸奥の砲台からさほど離れていないところにある桟橋。そんなには大きなものでも立派なものでもないように見えます。
しかし、敷地内に入るときに通った門は表玄関ではなく、この桟橋が正式な表玄関。表桟橋と呼ばれています。
大講堂で卒業式を終えた卒業生は、その足でこの桟橋から練習艦隊に乗り込み巣立っていくのです。
まとめ
いかがでしょうか。決して観光気分で行く楽しいところではありません。
アクセスも簡単ではありません。
しかし、現在もなお海上自衛隊の第1術科学校、幹部候補生学校として使われ、日本海軍魂が息づく聖地でもあります。
戦争のない現在の日本に感謝し、平和な世界を願いながらこの地を訪れてみてはいかがでしょうか。
見学についての詳細
海上自衛隊第1術科学校HP https://www.mod.go.jp/msdf/onemss/kengaku/index.html
交通
自動車
・神戸方面からは、西条ICから音戸大橋と早瀬大橋を経由して約2時間
・山口方面からは、広島東ICからが音戸大橋と早瀬大橋を経由して約2時間フェリー
・宇品港(広島港) -切串港(江田島)
・天応港(呉) -切串港(江田島)・・・切串港からタクシーで約15分・呉中央桟橋(呉) -小用港(江田島)・・・小用港からタクシーで約5分