呉冷麺です。ご存じでない方のほうが多いと思います。簡単に言えば、広島県呉市に局所的に広まった冷やし中華そばです。
中でも、元祖にして最高峰と言われるのが呉市内の「珍来軒」の呉冷麺。お昼時には行列ができる店として知られます。
写真のとおり、究極のシンプルさです。豪華に見せようという気持ちは一切感じられません。
多くの人が一度食べたら癖になるという味わい。ぜひ、全国区になってほしい味です。
基本的には呉市に行かなければ食べられない味ですが、東京で持ち帰り用を販売している店がありますよ!
シンプルにして絶品な冷やし中華そば
冷麺というと、朝鮮・韓国料理の「冷麺」、あるいは盛岡冷麺を思い浮かべる方もいると思いますが、呉冷麺は冷やし中華そばです。関西圏から西日本では冷やし中華そばのことを冷麺と言います。
冷やし中華というと、街の中華料理屋で食べる錦糸卵やキュウリやハムの千切りが美しく盛り付けられた醤油ベースのタレがかけられたものを想像すると思いますが、ちょっと趣きの変わった感じです。
呉冷麺は究極のシンプルさです。「何、このちっちゃなチャーシュー! しかもたったの3切れ!」「エビもちっちゃい!」と誰もが思うはずです。しかし、食べたら分かります。呉冷麺の真髄は麺とタレにあるのです。チャーシューやエビはほんの箸休め程度で十分なのです。
麺は、やや平たくツルッツルです。タレはやや薄い色合いで、量はかなり少なめです。
しかし、この研ぎ澄まされたこの一皿。よくかき混ぜて、麺とタレをよく絡めてすすり込むと、きっと驚くはずです。
鶏ガラベースの旨味と香りが広がり、甘さの中にピリリとやわらかな辛味、そして、小麦の香り高いツルッツルの平打ち麺。上質の冷やし中華そばです。
簡単に言えば、とびきりおいしい冷やし中華です。
初めての麺をすすった人は必ず声を出します。男性なら「おぉ〜」と。女性なら「あぁ〜」でしょうか。
私にとっては、初めて香川で本場の讃岐うどんを食べてそのおいしさに驚いたときの感覚に似ています。
初めて安曇野で本場の信州そばを食べてそのおいしさに驚いたときの感覚に似ています。
初めて新潟で南魚沼産の新米コシヒカリを食べてそのおいしさに驚いたときの感覚に似ています。
初めて……。そう、冷やし中華そばではあるけど、初めての感覚のおいしさです。
まずはそのまま食べて、途中で付属の辛子酢を入れてもおいしいですよ。
東京で買うなら銀座のアンテナショップtau
残念ながら、東京では呉冷麺がメニューに載っている店はないようです。さらにそこら辺のスーパーにも売っていません。
そこで朗報。東京では、銀座の広島県のアンテナショップtau(たう)で買えますよ。東京近郊にお住まいの呉出身の方、よかったですね。
2食入りで1080円(税込み)。おすすめです。
呉冷麺の作り方
当たり前ですが、説明書どおりに作りましょう。
たっぷりのお湯で1~2分茹でます。
1つ、大事なコツがあります。しっかりと水切りをすることです。
茹でおわった後はざるで湯を切って、水洗いをしてぬめりを取ります。その後、チャッチャッと水を切りますが、それではしっかりと水は切れていないのです。
ざるに麺を入れたまま上から強めに麺を押します。すると、結構水が出てきますよ。
麺がとてもしっかりとしているので潰れることはありません。
このひと手間でタレが薄まることなく、おいしくいただくことができますよ。
盛り付けの基本は、小さな醤油煮込み豚を3枚ほど、小さな酢漬けのエビちゃんを3匹ほど、キュウリの細切りを適量です。
麺と一緒に混ぜて食べるというより、箸休め、口直し、味変用といったところです。
私は、焼き豚は載せようと考えていましたが買い忘れ、エビは最初から準備せず、そのかわりにゆで卵をたっぷり載せました。
いくらシンプル・イズ・ベストといってもちょっと色味が弱い。真っ赤なトマトを載せれば彩りはよかったかもしれませんね。
呉冷麺まとめ
広島県呉市周辺のみで食べられている呉冷麺。
もっと広まってもよさそうなのですが、なぜかほぼ呉市限定です。
焼肉屋の冷麺、中華料理の冷やし中華そばとは違った味わい。ぜひお試しください。
通販もありますよ。