神魂神社です。「かもす」と読みます。
場所は松江市の近郊、神々の里、出雲の地です。特筆すべきは、日本最古の大社造りであるご本殿です。
国宝です!
私が神魂神社のご存在を知ったのは20年以上昔のまだ若かりしころ。
出雲や松江市には何度も訪れる機会があったのですが、なぜか参拝できずにいた神社です。
そこで今回は神魂神社参拝を第一の目的にして参拝することができました。
「かもす」という不思議な音の響き、写真だけで感じていたご神気。実際に参拝してみてわかりました。想像以上の、聞きしにまさる神社です!
主祭神は母神さま伊弉冉尊(イザナミノミコト)
神魂神社は、松江市の中心地、松江城から約8km、車で20分ほどの場所に鎮座します。
市街地を離れ、畑と住宅、そして古墳らしきとても小さなこんもりとした小山が点在する人里にあります。
一の鳥居から二の鳥居までの参道はアスファルトの道と畑に挟まれています。長くてきれいですが、正直、ごくフツーのシンプルな参道です。
ところが二の鳥居からがらっと雰囲気は変わります。圧倒的な神域と感じますよ。
丁寧に一礼をし、ゆるやかな石段を上ると苔むしたステキな手水舎があります。右手には急な男坂、そのまま進むと女坂です。
手水を済ませ、男坂を上がっていくと、もう「来てよかった!」という思いがこみ上げてきました。二十年来の思いがそうさせたのか、日ごろの運動不足のためか、鼓動は高まり、徐々に見えてくる拝殿を見て、境内のご神気に触れて感激しました。
主祭神は伊弉冉尊(イザナミノミコト)です。日本の国土、島々をつくり出し、太陽や月、水、火などすべてのものを生み出した母神さまです。
参拝できたことの感謝を申し上げ、境内を回ってみます。
国宝の御本殿は室町時代の建築
拝殿の左手に回って、ご本殿を見上げます。もう感無量です。神社好きの方は絶対に参拝してみてください。このご本殿の立派なこと!
存在感がハンパない! 何てったって国宝です!
社殿の大きく立派な神社はたくさんありますよ。出雲国ならもちろん出雲大社、我が故郷の厳島神社、そして伊勢神宮などなど。枚挙にいとまありませんが、神魂神社のご本殿はぜひぜひ訪れて、ご自身の網膜に焼き付けていただきたいと思います。
現在の社殿は再建されたものです。再建といっても正平元年(1346年)、室町時代初期のこと。柱に墨書も見つかっているのです。
700年に近い歴史の持つ厚み、そして昔から変わらぬであろうご神気がひしひしと伝わってきます。
一周ぐるりと、近寄ってみたり離れてみたり、見上げてみたりのぞき込んだり、しばらくは見とれてしまいますよ。そして、2周、3周。
現在の出雲大社のご本殿より古い建築です。
正面と背面の宇豆柱(うずばしら)に大きな特徴があります。壁面よりも大きく張り出しています。これが古い建築様式を表すものなんです。
柱の太さも極端に太いですよね。これも建物により一層の重厚感を与えています。
小さな末社も国の重要文化財
本殿に向かって左側に貴布祢(きふね)稲荷両神社の社殿があります。本殿に比べるととても小さな末社です。
でもこちらの建築もすごいんですよ。天正11年(1583年)の桃山時代、二間社流れ造りという珍しい建築で国の重要文化財なんです。
※通常は前面の柱が2本、間口が1つの一間社か、柱が4本、間口が3つの三間社。
本殿に向かって左側の境内には、左から武勇社、蛭子社、荒神社、外山社、貴布祢稲荷両神社。右側の境内は、杵築社、伊勢社、熊野社、御釜宮と並んでいます。
石段、本殿、拝殿、末社。それぞれが少しずつ独特、唯一無二のもの。これらが集まって特別な雰囲気を醸しているんですね! 「しぃーーーん」という聞こえない音が聞こえてくるような気がしました。笑
神魂神社は「国宝」ですが、全くと言っていいほど観光地化されていません。近くには小さな売店さえありません。
松江市か文化庁が設置したであろう説明板が少しあるだけです。
観光目的ではなく、真に参拝に来られる方だけを招いているように感じます。
神社の見えない意向をくみ取って静かに参拝したいものです。
神魂神社まとめ
願い叶ってようやく参拝させていただくことができた神魂神社。
素朴ながらも重厚で、古より変わらぬであろう神々のおわす地であることを感じさせてくれます。
社殿が国宝という、とってもスペシャルな神社なのに観光地化されていない、いい意味で飾り気の全くない神社です。
さすが出雲!
松江、出雲方面へ観光の際は、ぜひ「目的」の一つに加えることをおすすめします!