安芸の宮島、厳島神社といえば、国宝、日本三景、そして世界遺産。
海に浮かんで見える社殿、海にそびえ立つ大鳥居。広島人の私でさえ何度行っても飽きることはありません。
広島を訪れたなら宮島に行かなきゃ損です。宮島を訪れたなら厳島神社を参拝しなきゃ損です。
そして、さらに宮島の中におすすめの場所が2ヶ所あります。トップ・オブ・ザ・宮島と言ってもいいところです。
宮島の最高峰、弥山(みせん)の頂上と頂上近くにある天空の神社、御山(みやま)神社です。
今回は伊藤博文に「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」と言わしめた弥山の頂上をご紹介します。
弥山山頂付近の巨石群がすごい!
宮島と普通には言いますが、正式な島の名称は厳島です。
古くから神社、お宮の鎮座する島だから宮島です。
そんな厳島が宮島となったのは、さらにさらに古くの大昔からもともと神様がおわす島だからです。
わかりにくいですね。
宮島からは旧石器時代の石器や縄文時代から弥生時代、古墳時代の土器も多数見つかっています。そんな大昔の日本人が神様がいらっしゃると信じて疑わなかったであろう場所が弥山の頂上なのです。
とても自然にできたとは思えない、とはいえ、とても人が作ったものとも思えない、巨岩、奇岩がゴロゴロ、ドッカンドッカンとあります。
磐座(いわくら)信仰と言われる岩、特に巨岩に対する信仰が宮島の神の島としての始まりではないかと考えられます。
神の島だからこそのタブーも存在します。お葬式や出産は島の中ではできませんでした。今でも島の中にはお墓が1基もないそうです。
そんな神の島の頂上。体がビリビリするほどのパワーを感じ取ってください!
弥山山頂からの多島美が最高!
弥山の頂上で特筆すべきことがもう一つあります。
頂上からの絶景! 瀬戸内海の多島美の美しいこと!
初代総理大臣の伊藤博文は「日本三景の一の真価は頂上の眺めにあり」とのたもうておられます。
神の島とかパワー何とかなんて全然興味のない人でも頂上からの景色を見れば「お~っ!」とうなりますよ。
しばし時を忘れて大岩に腰掛け、片膝を抱えて過ごしてしまいそうです。
両足を大きく広げ立ち、両手を広げ顔を大空に向けると、まるで自分が世界の中心になったかのように、多分、感じることができます。
おじさんがそんなことしているとかっこ悪いのでやってませんけどね。
巨石の上によじ登って景色を眺めている人がたまにいますが、落ちたら大変ですよ。
私も若いころに登ったことがありますが、おすすめしません。
大体、展望台の上から巨岩も含めた瀬戸内海の写真を撮ろうとしている人の邪魔になっていますよ!
弥山山頂へはロープウェイを使おう!
弥山の標高は535mです。
ミシュランの3つ星に選ばれた東京の高尾山の標高は599mです。
高尾山に登ったことのある人も多いでしょう。「高尾山くらいなら余裕! ハイキングのつもりで歩いて行こう!」なんてゆめゆめ考えないようにしましょう!
高尾山口の標高は193m、高尾山の標高は599m。標高差は407mです。
一方、弥山は海岸線の標高0mから535mまでの登山となります。
甘く見てもらっちゃ困ります!
ロープウェイの往復料金は大人1800円。
昔の人は言いました。1800円を惜しむな、身をこそ惜しめ。
宮島桟橋からロープウェイ駅まで
宮島桟橋からロープウェイ駅である紅葉谷駅までは徒歩で30分ほどかかります。
商店街を抜けて厳島神社の裏側、老舗旅館の横から送迎バスも出ています。
送迎バス乗り場から紅葉谷駅まで歩きなら10分ほどです。バスなら3分。ただし、バスの出発は20分間隔です。タイミングが合えば乗ればいいでしょう。
ロープウェイ紅葉谷駅→榧谷駅→獅子岩駅
紅葉谷駅から山頂の獅子岩(ししいわ)駅までは1回乗り換える必要があります。途中の乗り換える榧谷(かやたに)駅は乗り換え専用駅です。ここで下車することはできません。
紅葉谷駅から乗るロープウェイは循環式。8人乗りのゴンドラが1分間隔で次から次へとやってきます。(実際は6人乗りくらいかと)混雑時でなければグループごとに乗ることができるでしょう。乗車時間は約10分。眼下に見える原生林と遠ざかるふもとを交互に眺めていると、あっという間に着きます。
中継の榧谷駅からは30人乗りのゴンドラ2台が15分間隔で行ったり来たりしています。混雑時は5分おきにまで便数は増えるのですが、なぜここも次から次へと乗れる循環式にしなかったのか不思議です。笑
山頂の獅子岩駅までは乗車4分。駅を出て左側を進み登ると獅子岩展望台です。ここからの景色も弥山山頂からの景色に劣ることなくすばらしいですよ。
体力に自信のない人、お年寄り、幼児連れは山頂へは向かわず、ここでの眺望を楽しむといいでしょう。駅には軽食・喫茶もできるレストランがあります。
獅子岩駅から弥山本堂を経て弥山山頂まで
獅子岩駅から弥山山頂までは歩くしかありません。整備されているとはいえ山道です。靴は軽登山靴かスニーカーがいいでしょう。サンダルや革靴は思わぬケガの元です。
せっかくロープウェイでかせいだ標高ですが、いきなり10分近く結構急な山道を下ります。
ようやく下りが終わったと思ったらそこから30分近く登りが続きますよ。
途中、弥山本堂・霊火堂があるので一休みです。
弥山は大同元年(806年)に弘法大師空海が開いたと言われています。遣唐使としての役目を終え、京都への帰途、宮島、弥山に立ち寄り、100日間の護摩を焚いたそうです。スーパーマンですね。このときに使った火が霊火堂の「消えずの火」です。1200年間消えていないと言われています!
この「消えずの火」は平和記念公園の「平和の灯」の種火でもあります。
弥山本堂・霊火堂からは途中「くぐり岩」を抜けて登りで10分ほどです。山頂付近の巨岩帯に到達すると一気に視界が開けます。あとは思う存分、山頂のパワーを感じ取ってください。
ただし、下りのロープウェイの時間には余裕をもって行動しましょう。
獅子岩駅から山頂まではコースタイム30分と書いてありますが、それは休憩なしの場合。途中の休憩も入れて1時間は見ておきましょう。
ロープウェイの時間に遅れると自力で下山しなくてはならなくなります。夜の山を歩くのは大変に危険、不可能です。
弥山まとめ
弥山一帯は神域ということもあって、古くから手付かずの状態の原生林です。弥山原生林として世界遺産にも含まれているほか、国の天然記念物にも指定されています。
登山道は整備されているとはいえ、コースを見誤るとあらぬ方向へと行ってしまいかねません。
登山経験のない方はロープウェイを使ったコースにしましょう。
そして、登山ルートを選ぶときは、必ず登山の装備を準備しましょう。